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心身医学
むちゃ食い症

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むちゃ食い症

[  著  ] 中井 義勝
[ 発行年 ] 2022年5月25日
[ 分 類 ] 心身医学
[ 仕 様 ] A5判 101頁
[ 定 価 ] 1,980円(税込)
[ ISBN ] 978-4-907095-74-1
[ 主な内容 ]
●日本初の“むちゃ食い症”の手引書ができました!
●“むちゃ食い症”がわかる正しい知識がここに !!
●むちゃ食い症の自己診断票を掲載


はじめに

むちゃ食い症は新しいタイプの摂食障害
 拒食症や過食症は欧米の若い女性に多い病気ですが、日本でも1980 年頃から患者数が増加し、世間の注目を浴びています。これらの病気につながる若い女性のやせ願望とダイエットの行き過ぎは、先進諸国で社会問題となっています。
 一方、欧米では、30 年ほど前から、むちゃ食い症(過食性障害ともいう)が増加しています。むちゃ食い症は、ストレスにうまく対処できなくて発症する新しいタイプの摂食障害です。若い女性のみでなく、中年の男女にもみられます。しばしば、うつ病などのこころの病気や、メタボリック症候群などのからだの病気を引き起こします。

むちゃ食い症の人は日本にいるか
 日本では多くの人がむちゃ食い症をよく知らないようです。欧米では、むちゃ食い症は最も頻度の高い摂食障害で、むちゃ食い症について多くの書物があります。一方、私が7 年前に行った調査で、むちゃ食い症は日本でも最も頻度の高い摂食障害ではありますが、受診率は極めて低いことが明らかとなりました。しかし、ここ5 年ほど前から私の外来を、むちゃ食い症の人が多く受診しています。
 後ほど詳しく述べますが、むちゃ食い症の人はむちゃ食いを非常に恥ずかしいことと思っていて、誰にも打ち明けられず、ひそかに1 人で悩んでいます。例えば、むちゃ食い症と併せ持つうつ病の治療を受けていても、むちゃ食いのことは主治医に話せずにいます。また、せっかく主治医に話しても、多くの場合、専門外だと対応してもらえません。私のところを受診するむちゃ食い症の人の多くは、私のクリニックのホームページを偶然見て受診されています。

この本が目指すところ
 適切な治療を行うと、むちゃ食い症は、拒食症や過食症より治る率が高く、また、併せ持っているうつ病やメタボリック症候群なども治ることが明らかとなってきました。
 私は、むちゃ食い症の正しい知識を、世の多くの人にもって頂くとともに、専門家の注意を喚起し、この病気に悩む人が一刻も早く救われることを願ってこの本を執筆しました。
 この本にむちゃ食い症の自己診断票を掲載したので試みてください。
 日本では、むちゃ食い症の治療に関する手引書がありません。本書は、摂食障害の治療経験のない医師でも、むちゃ食い症の外来治療が行える手引書として作成しました。
 一方、欧米では、自力で過食症やむちゃ食い症を治すセルフヘルプが提唱されています。セルフヘルプには参考書が必要です。本書がむちゃ食い症のセルフヘルプの参考書となればと思っています。

用語について
 ダイエットという言葉は、美容目的で食事制限をすることによく用いられますが、治療目的で食事制限をするときにも用いられます。混乱を避けるため、本書ではなるべく使用を控えました。
 拒食症の学術名は「神経性やせ症」で、過食症の学術名は「神経性過食症」です。本書は広い読者層を対象としているので、学術名ではなく通称となっている「拒食症」と「過食症」を用いました。むちゃ食い症の学術名は「過食性障害」と「むちゃ食い症」ですが、本書ではむちゃ食い症を用いました。
 2022 年5 月吉日
京都健康科学研究所 中井 義勝



目次


第1章 むちゃ食い症とはどのようなものか


第1節 むちゃ食いについて
第2節 むちゃ食いと過食の違い
第3節 むちゃ食い症の症例について
第4節 むちゃ食い症の診断について

  1.むちゃ食い症を自己診断してみよう
  2.治療者はむちゃ食い症をどのように診断するのか

第5節 むちゃ食いをするその他の病気

  1.むちゃ食いをしている拒食症の人
  2.過食症の人

第6節 むちゃ食いをする特殊なケース

  1.夜間食行動異常症候群
  2.非定型うつ病の場合
  3.双極性障害の場合
  4.月経と関連してむちゃ食いが来る場合

第7節 この章のまとめ

第2章 むちゃ食い症についてもう少し知ろう


第1節 むちゃ食い症の歴史

  1.欧米のむちゃ食い症
  2.日本のむちゃ食い症

第2節 むちゃ食い症の臨床症状

  1.むちゃ食い症の頻度
  2.むちゃ食い症の症状

第3節 この章のまとめ

第3章 むちゃ食い症はなぜ発症するのか


第1節 むちゃ食い症の発症には2 つの経路がある

  1.ストレスが発症要因となる経路
  2.食事制限から始まる経路

第2節 むちゃ食い症の発症と関連する社会文化的背景

  1.日本における摂食障害に関連する社会文化的要因
                       の歴史
  2.むちゃ食い症発症の社会文化的背景

第3節 この章のまとめ




第4章 欧米で行われているむちゃ食い症の治療


第1節 むちゃ食い症治療のあらまし
第2節 認知行動療法

  1.過食症の認知行動療法
  2.認知行動療法改良版(強化認知行動療法)
  3.ガイド付きセルフヘルプ認知行動療法

第3節 この章のまとめ

第5章 私の行っているむちゃ食い症の治療


第1節 私のむちゃ食い症治療の概観
第2節 私のむちゃ食い症治療の方法

  1.初診時に行うこと
  2.2 回目の受診時に行うこと
  3.3 回目以降の受診時に行うこと
  4.最終回に行うこと

第3節 むちゃ食い症の治療を行った症例の解説

  1.Cさんの治療経過
  2.Dさんの治療経過
  3.Eさんの治療経過
  4.Fさんの治療経過
  5.Gさんの治療経過

第4節 むちゃ食い症の長期治療

  1.対象者の臨床背景
  2.治療経過中の臨床症状などの経時的変化
  3.転帰について
  4.むちゃ食い症の長期治療のまとめ

第5節 この章のまとめ
第6章 この本を読み終えた方へ
最新 女性心身医学

個数:
最新 女性心身医学

[ 監 修 ] 本庄 英雄
[ 編 集 ] 日本女性心身医学会
[ 発行年 ] 2015年8月1日
[ 分 類 ] 心身医学 産婦人科
[ 仕 様 ] B5判・356頁
[ 定 価 ] 5,500円(税込)
[ ISBN ] 978-4-907095-24-6
[ 主な内容 ]
●時代の変遷の中で新たにクローズアップされてきた諸問題や最新の研究成果を取り入れた、初学者にも理解しやすい実践的な指南書。
●産婦人科領域のみならず、心身医学・精神医学・心理学・教育学など、女性とかかわる研究者や臨床家にとって真に役立つ座右の書である。


序文

 わが国で産婦人科心身症研究会が発足して40年あまり、日本女性心身医学会として新たなスタートを切ってから間もなく20年、という大きな節目の時期に、本学会の発展を象徴するかのような、この最新テキストブックの発刊が実現したことは、われわれにとって望外の喜びである。21世紀は心の時代といわれ、また、性差医学の重要性が取り沙汰されて久しいが、それらをはるかに遡る半世紀以上前から、女性の心と身体の相関をめぐる諸問題を解明しようとする試みは、熱心な研究者・臨床家先輩諸氏によって地道に脈々と受け継がれ、現在に至っている。しかし、それが1つの体系的かつ重要な領域として注目されるようになり、多彩な分野の専門家同士が積極的な交流をもつようになったのは、近年になってからであり、本学会の歩みは、まさにその足跡とともにあるといえる。
 本学会は、かつて、国際女性心身医学会の主催を控えた2006年に、『TEXT BOOK女性心身医学』を出版した実績があり、それまでにない視点から女性特有の心身医学的諸問題を網羅的に解説した成書として、現在もさまざまな分野で活用されているものと思う。今回の『最新 女性心身医学』は、その後の目まぐるしい時代の変遷の中で新たにクローズアップされてきた諸問題や最新の研究成果も取り入れ、より体系的な、それでいて初学者や身体診療科の医療者にも理解しやすい、手元で実践的に使用できるコンパクトな指南書を、というコンセプトのもとに、まったく新たに編纂されたものである。これはまさに、近年、本学会が700余名の会員を擁し、産婦人科周辺領域のみならず心身医学・精神医学・心理学・看護学・助産学・教育学等々の多岐にわたる分野の専門家が一堂に会する組織へと成長したことによって、達成できた成果といえる。本書の執筆者は、学会の主要メンバーを中心に、今まさに日本の女性心身医学領域を、各方面から牽引している実力者ばかりであり、非常に密度の濃い内容となっているうえ、この領域が少しでも広く認知され活用されていくことを願う各執筆者の熱い思いが、ひしひしと伝わってくる書籍となった。
 第Ⅰ章の総論では、女性心身医学の歴史を概説するとともに、心身医学的あるいは精神医学的な診断・検査・治療法の基礎を、専門外の初学者にもわかりやすい非常に具体的な記述で解説している。第Ⅱ章の各論では、思春期・性成熟期・更年期・老年期という女性の複雑なライフステージと、内分泌学的変化・月経・妊娠出産・閉経・加齢・身体疾患・社会とのかかわりといった具体的諸事象とが交錯して生じる女性特有の心理社会的問題を、さまざまな角度から詳説している。この領域が包含する課題は、非常に複雑かつ多岐にわたるため、いまだ研究途上の部分も多い。よって、各項目間でやや内容の重複している部分も見受けられるが、むしろそれは、現時点での各研究者の独自の視点からの多様な見解として記述されているものであり、読者諸氏が、今後の研究・実践の中でさらに発展・統合していってくださることを切に望むものである。
 われわれは、本書が、女性とかかわるさまざまな研究者・臨床家にとって真に役立つ座右の書となり、1人でも多くの女性の生涯にわたる心身の健康に資することを心から願ってやまない。
 そして最後に、刊行にあたり、多忙を極めながら惜しまぬご尽力をくださった執筆者各位の熱意と、発案・企画から1年半という出版計画を見事に達成してくださったぱーそん書房の山本美惠子氏の昼夜兼行の実行力に、改めて深い感謝の念を捧げたいと思う。
 2015年初夏
日本女性心身医学会『最新 女性心身医学』
編集ワーキンググループ代表 中澤 直子


目次


Ⅰ.総 論


1 女性心身医学の歴史と方向性

  Ⅰ.国際女性心身医学会
  Ⅱ.日本女性心身医学会
  Ⅲ.現況と将来

2 心身医学的診断法

  Ⅰ.医療面接とは
  Ⅱ.面接時の基本的姿勢
  Ⅲ.面接の場面設定
  Ⅳ.面接の導入
  Ⅴ.現病歴の聴取
  Ⅵ.生育歴の聴取
  Ⅶ.病態仮説の作成
  Ⅷ.精神疾患の除外
  コラム1 境界性パーソナリティ障害と発達障害

3 心理検査の活用

  Ⅰ.心理検査の目的
  Ⅱ.心理検査の種類
  Ⅲ.心理検査実施における留意点
  Ⅳ.心身医学の現場で役立つ心理検査

4 精神療法―一般心理療法と心身医学の三大治療法
         (交流分析、自律訓練法、行動療法)

  Ⅰ.精神療法
  Ⅱ.交流分析
  Ⅲ.自律訓練法
  Ⅳ.行動療法

5 その他の治療法

 1.認知療法、森田療法
  Ⅰ.認知療法
  Ⅱ.森田療法
  Ⅲ.認知行動療法と森田療法の違いについて
 2.漢方治療、代替医療
  Ⅰ.漢方治療
  Ⅱ.代替医療


Ⅱ.各 論


1 女性のライフサイクルとメンタルヘルス

  Ⅰ.日本の女性のライフコースの構成要素
  Ⅱ.日本の女性のライフコース上のストレス

2 摂食障害

  Ⅰ.疫学
  Ⅱ.発症要因
  Ⅲ.臨床像
  Ⅳ.診断
  Ⅴ.治療
  Ⅵ.症例とその対応
  Ⅶ.予後
  コラム2 無月経への対応
  コラム3 女性アスリートのメンタル課題

3 思春期の性行動と避妊

  Ⅰ.性行動の実態
  Ⅱ.人工妊娠中絶と避妊
  Ⅲ.10代の妊娠・出産
  Ⅳ.10代の性感染症
  Ⅴ.性被害

4 性と気分障害、不安障害、睡眠障害

 1.気分障害、不安障害
  Ⅰ.気分障害
  Ⅱ.不安障害
 2.睡眠障害
  Ⅰ.不眠症(不眠障害)
  Ⅱ.睡眠時無呼吸症候群
  Ⅲ.周期性四肢運動障害とレストレスレッグス症候群
  Ⅳ.ナルコレプシー

5 女性と身体症状症および関連症群

  Ⅰ.身体症状症および関連症群の概要
  Ⅱ.身体症状症および関連症群の治療
  Ⅲ.薬物療法
  コラム4 月経関連片頭痛

6 月経困難症

  Ⅰ.定義と頻度
  Ⅱ.リスク因子と心理社会的要因の関与
  Ⅲ.治療における心身医学的アプローチの可能性
  Ⅳ.子宮内膜症に伴う心身医学的問題
  Ⅴ.子宮筋腫に伴う心身医学的問題

7 月経前症候群(PMS)

  Ⅰ.定義と診断基準
  Ⅱ.症状の種類と出現様式
  Ⅲ.疫学的知見
  Ⅳ.病因
  Ⅴ.診断
  Ⅵ.治療




8 月経前不快気分障害(PMDD)

  Ⅰ.PMSの診断と歴史
  Ⅱ.PMDDの歴史
  Ⅲ.PMDDの症状と診断
  Ⅳ.PMDDの疫学
  Ⅴ.PMDDの発症機序
  Ⅵ.PMDDとうつ病の異同
  Ⅶ.PMDDの危険要因・関連要因
  Ⅷ.PMDDの治療

9 慢性骨盤痛と外陰痛

  Ⅰ.慢性痛とは
  Ⅱ.骨盤痛患者における心身症
  Ⅲ.慢性痛の発現機序
  Ⅳ.診断
  Ⅴ.治療
  Ⅵ.慢性骨盤痛と外陰痛の治療例
  Ⅶ.疼痛の性差
  Ⅷ.心身症としての慢性痛の診療における留意点

10 セクシュアリティと性機能障害

  Ⅰ.セクシュアリティと女性心身医学
  Ⅱ.性反応と性機能障害
  Ⅲ.性機能障害の診断と治療

11 不妊症とメンタルケア

  Ⅰ.不妊治療患者の特徴
  Ⅱ.不妊治療患者の求めているもの
  Ⅲ.今後の生殖医療とメンタルケア

12 妊娠と遺伝カウンセリング

  Ⅰ.妊娠中の遺伝カウンセリングとは
  Ⅱ.これからの遺伝子検査が出生前診断にもたらす課題
  Ⅲ.子どもとして受け入れること=自分を受け入れること

13 妊娠中のメンタルケア―精神疾患合併の妊娠管理
             および流産・死産と心理反応

  Ⅰ.妊娠前の留意事項
  Ⅱ.うつ病
  Ⅲ.統合失調症
  Ⅳ.パニック障害
  Ⅴ.双極性障害
  Ⅵ.産科異常(流産、死産)に対する心理反応
  コラム5 妊娠中の向精神薬の使い方

14 周産期のメンタルヘルス

 1.産後のメンタルケア、育児ストレス
  Ⅰ.産後の母親の心理状態
  Ⅱ.産後の母親のストレス状態の評価
  Ⅲ.産後の母親の精神心理的生活の評価
  Ⅳ.産後のストレスを軽減する支援
  Ⅴ.産後の母親へのメンタルケアの基本
  Ⅵ.行政で行われている具体的な育児への支援
  Ⅶ.母子に対する支援者の方向
 2.周産期のうつ病、その他の精神疾患
  Ⅰ.周産期の精神疾患
  Ⅱ.新生児喪失に関連した精神病理
  Ⅲ.産褥期の精神疾患
  コラム6 乳幼児虐待と世代間連鎖

15 更年期のメンタルヘルス

  Ⅰ.更年期障害の病態
  Ⅱ.更年期の精神症状

16 高齢女性をめぐる諸問題

  Ⅰ.老年期・寿命・身体疾患
  Ⅱ.老年期・精神疾患・女性
  コラム7 百寿女性の心身の健康

17 婦人科腫瘍とメンタルケア

  Ⅰ.婦人科腫瘍のメンタルケア
  Ⅱ.婦人科悪性腫瘍の緩和ケア

18 有職女性の心理社会的問題

  Ⅰ.女性の労働状況
  Ⅱ.有職女性の心理社会的問題
  Ⅲ.有職女性の健康支援の在り方

19 女性と暴力被害

 1.DV被害の実態と精神科的治療
  Ⅰ.DVの形態
  Ⅱ.DVの実態
  Ⅲ.精神健康被害
  Ⅳ.DV被害者への対応
 2.性暴力被害
  Ⅰ.性暴力の形態
  Ⅱ.性暴力被害の実態
  Ⅲ.精神健康被害
  Ⅳ.性暴力被害者への対応

20 女性のトラウマとPTSD、複雑性悲嘆

  Ⅰ.女性における心的外傷的出来事の体験とPTSD
  Ⅱ.女性における死別体験と複雑性悲嘆

21 女性と依存症

  Ⅰ.依存症の概要
  Ⅱ.依存症と発達障害・気分障害
  Ⅲ.買い物依存
  Ⅳ.タバコおよびアルコール依存

2024年10月 新刊追加